2005年03月31日

#58.無駄な時間...「フリーランスの生産性が高いのはあったり前」その理由

これは、2001.4.11に旧サイトにアップしたものの再録です。

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以前にも書いたかもしれないが(最近、毎回この書き始めだな〜)、フリーランスになると、(会社勤めの時と比べて)驚くほど仕事がはかどるようになる

サラリーマン時代の何分の1ってくらいしか働かなくても、サラリーマン時代よりはるかに量,質共に充実したプランニングができるようになった。

つまり、生産性が高まるわけだ。

別に、特別意気込みが高まったわけじゃない。
特になにか工夫したわけでもない。

ただフリーになっただけで生産性が高まるのだ。

ウソだって思ってる人も多いだろうね。でも実はこれって本当のコト。

これってどういうことなのか?ってのが今回のテーマ。

主に時間について考えてみる。




■■1.会社勤めだと「いかに無駄な時間が多いか」

生産性ってのは、時間あたりにどれだけの量の作業をしたかではなく、どれだけの成果をあげたかだ。

日がな一日一所懸命働いていても、利益を生むなりなんなりの具体的な役に立つ成果をあげなければ、生産性は0だ。

例えば、一日中片っ端から電話が鳴ったら取ってるとするでしょ?
そればっかりやってるとする。
もしあなたの仕事が、「電話番」ならとても成果をあげたことになる。
電話番の成果ってのは、1日に何本電話を取ったか,最低限的確に応対したかみたいな割と定量的にはかれるわけだ。

でも、あなたが企画マンだったり,デザイナーだったりしたら、なにも生産しなかったのと同じだ。

こういう「雑務」ってのは、実はめちゃくちゃ多い。
例えば、サラリーマンの場合、一日の作業の70%くらいはこういう雑務(コア業務以外の作業)に費やしていると言われているくらいだ。

電話応対,伝票書き,日報・週報の様なレポート,「プロジェクトメンバーが情報を共有する」ためだけに無意味に長い間拘束されたりする会議,部下のはなしを聞いてやったり、会議と会議の合間だったりのブツ切れでなにもまとまった作業ができないような時間,会議の出席者の時間調整のための連絡... ....きりがない。

「70%なんて大げさだ!いろいろ雑務はあると思うけど、そんなに多いわけない!」という人も多いだろう。...これだけ忙しいんだから、オレは"仕事"してるハズだ」って思いこんでるんだよね。

でも、例えば、あなたがデザイナーなら、1日の労働時間の中から、キチンとデスクに向かって、電話も取ったりせず集中してデザイン作業している時間と、デザインの中身について真に討議している会議の時間とかを厳密に切りだして、拘束時間から引いてみて欲しい。愕然とするような結果が出てくるはずだ。

いや、デザイナーとかいわゆるクリエイターはまだいいんだけど、会議が多いプランナーとかだとあきれるほど少ないはずだ。デザイナーとかのクリエイターでも、所属する組織が大きくなるほど、こういう無駄な時間はやたらと増えていくはずだ。


■■2.無駄な時間(生産に直結しない時間)から開放されるのだから、フリーの生産性があがるのは当たり前。

きっとあなたが管理職かなんかだったら、今まで書いたことを苦々しく読んでたことと思う。

だって、電話応対や日報書きとかを「無駄な時間」と言ってるわけだからね。

こういうことをキチンと部下にやらせるのが、管理職の重要な仕事のひとつだったりするわけだしね。

そう「無駄」ってのは言い過ぎかもしれない。全部、ある意味...主に組織が組織として機能するために...極めて重要な仕事だ。
でも、生産性向上にほとんど結びつかないという点ではまさに無駄な時間なわけだ。

話は若干ずれるが、ITソリューションといえばその目的は、アジリティの向上(状況を的確に判断して、素早く意志決定する)だったり、コラボレーションの向上・KM推進だったり、状況把握の深化だったり... ... まあ突き詰めればそういうことが多かったけど、最近は、広い意味でのバックオフィスソリューション(例えば総務が提供していたような社内サービスとかのソリューション)の効率化が特に求められているという印象をつよく受ける。

つまり雑務からどれだけホワイトカラーを開放できるか,その分コア業務に集中させられるかってことだ。

つまるところ、ホワイトカラーの生産性を高めるには、まずココにこそメスを入れなければ何も始まらないに等しいのだ。

例えば、電子マーケットプレイスソリューションだって、大きく掲げられるわかりやすいメリットは調達コスト削減だったりするが、キチンと導入してその効果を分析すれば、実は、調達に関わる膨大なプロセスコスト削減の効果の方がはるかに大きかったりする。
そういう意味では(雑品調達などに使われるなら)、バックオフィスソリューションなんだよ。マーケットプレイスも。

プロセスコストってどういうことかって言えば、例えば、ファイルとか筆記具とかが欲しいって申請するとするでしょ?申請するあなたの時間,途中の決済にかかる時間,総務とかの業者への発注などの時間...こういったものを積算していくとものすごくばかばかしい時間を食ってるわけ。ちゃんと人件費計算すると大組織で使うボールペン1本は3000円くらいかかってたりするんだよね。これってマジなはなしよ。キチンとしたデータもあるんだから。

これって反対から眺めると、組織なら、それも大組織なら、こういう無駄な時間ってのはどうしようもなく沢山食うものなのね。ってことがわかる。

ITとか使ってより効率的にってことはできるんだけど、本質的にはどうしようもなく多いわけ。

大企業病とか,組織が大きくなると官僚的になるとか言われているのは、こういった組織維持のための手続きの量と重要性が大きくなるために、それ自体が目的化してしまうというナンセンスな考え方や行動が蔓延するということだ。

また、さらに話は脱線するけど、一種の規制産業だったり停滞産業だったりすると、生産性なんて実はどうでもよくなってきたりして、「仕事は自分でつくるもんだ」なんて言葉が組織文化的にねじ曲げられて、必要もない仕事(プロセス)を自らつくっちゃったりして、それが誉められちゃったりしてね。

仕事ってのは、成果が同じなら、少ないほどいいわけ。
成果が同じなら暇な方がいいんだよ。

こんな当たり前のことが通じないところって多いよね。
例えば、役所とかさ。一所懸命「仕事をつくってる」。無意味な手続きとかね。
無意味な作業で労働時間を使い切ることが組織の構成員の存在意義になっちゃってるわけだ。
年度末に予算消化でやたらと道路を掘り返して渋滞を引き起こして、社会の生産性を低下させているのと似ているね。

でも、組織ってのは、大なり小なり、規制産業だろうとなかろうと、多かれ少なかれ、こういうことが必要なのだ。「組織がキチンと組織であるが為に」いろいろとね。意志の共有化とか、ビジネスの全体像の把握とかね...必要悪だよね。

ところが、フリーってのは、電話は留守番電話にとらせるって決めたりできるし、自分に向けて日報書く必要ないし、自分ちの経営について会議する必要もないし、会計係に理解させるためだけに伝票書く必要もない... ....そういう「雑務」から100%じゃないにしても、かなり開放されるんだよね。

そりゃ生産性あがって当然でしょ?


■■3.まとまった時間じゃなきゃ意味がない。

その上、もっと大事なことがある。
知価生産の時間はまとまってなきゃダメだってことだ。

私はサラリーマン時代、よく小さい会議室を占領して嫌がられた。

だって、電話がやたら鳴ったり、ちょいちょい話しかけられたりするようなデスクでマトモな企画なんてできるわけないんだよね。...みんなそれでも自分のデスクで頑張ってやってたけどさ。

パーテーションとかもあったけど、そんなもんあったって、完全に一人になって、まとまった時間が出来なきゃ結果は同じなんだよね。

思うにパーテーションってのは、マネージメントの自己満足だよ。「オレは、クリエイティブな作業に相応しい環境を与えている」ってね。実際は殆ど意味がない。

そんなことより、クリエイティブ系の部門や企画・分析系の部門は、やたら電話を取らなくていいとか、やたら話しかけてはいけないとかのルールを作った方がよっぽど生産的だ。

こういう仕事ってのはまとまった時間がなきゃダメなんだよ。

そりゃアイデアを出したりするのは、みんなでワイワイやったりしたほうがいいかもしれないけど、実は大事な作業ってのは、それをキチンと整理して体系立てて昇華させるってことでしょ?

そういうことは、まとまった時間がないと絶対にできないんだ。

サラリーマンだって、企画をつくるときって、結局、土日に家に持ち帰ったり、残業して電話が鳴らなくなってからやったり、喫茶店や空いてる会議室に籠もったり...ってやってる人が多いじゃない。
そうそう、思い出してみると、サラリーマン時代の自分のデスクで企画つくってた同僚とかも、結局、夜中に企画書つくってたもんね。
どっかで閉じ籠もんなきゃ、結局、そうなるんだよ。

そうじゃなくても「できる」かもしれないけど、効率的にはぜったいにできないわけ。

でもね、フリーランスなら、時間管理上最も重要な、まとまった時間をつくるっていうことが、その気になれば簡単にできるわけ。


■■4.なんか誤解しているフリーランスたち

さっき、例えば「電話は留守番電話にとらせればいい」とか書いたね。

そこ読んで「冗談じゃない。電話にちゃんと出なきゃ仕事のチャンスを失うし... ...」とかって思った人も多いと思う。

そりゃ90%くらい間違ってるし、「仕事の常識」に縛られてるんだと思う。

「組織で働く場合の仕事の常識」も「フリーランスの仕事の常識」基本的に同じだと思ってる人....大きな誤解ってのは実に多い。

「正しい仕事の仕方」ってヤツだ。

でもよく考えてみて欲しい。

留守電がなって重要だと思う内容なら、「今戻ってきました」とか言ってでればいいじゃん。しばらくして作業がキリがいいところで電話したりしてもいいし、だいたい最近はメールの連絡も多いし。

それでもスグに出なきゃ仕事を他にもってかれちゃうってケースもあるかもしれないけど、そういう風にパニック的にあわただしい仕事なんて、ほとんどろくな仕事じゃないよね。...受けなかった方が良かったってくらいのさ。

それにだいたい、キチンと集中してイイ仕事するってことを積み上げてた方がよっぽど営業になるよ。そうでしょ?

もし、一瞬そう思っても、「いやそれは甘えだ」なんて思って首を振ってるような人は、世間の目に付く人...サラリーマンにとってそうだとしても、自分にとっては一瞬思ったことの方が正論だって考えてみるべきだよ。

電話以外にもいろいろと誤解は多いね。

朝からキチンと働いて夜は休むのが真っ当な仕事の在り方だという思いこみや、意味のない会議でも呼ばれたら出席するべきとか、クライアントに会食やゴルフに誘われたら絶対行くべきだとか、どんなに忙しくても年賀状とかはキチンと書くべきだとか、毎日きちんと出納帳をつけるべきだとか... ... ...

でもね。それこそ誤解しないで欲しいんだけど、電話は留守電にしておくべきだとか、ゴルフは断るべきだとか...言ってるわけじゃあないですよ。

そりゃ時と場合であって、企画のキモを考えてるときは、留守電にすればいいし、そうじゃない時は出た方がいいに決まってる。ゴルフだって、ゴルフが好きで時間があるとか、重要な仕事のはなしをすることが決まっているなら行けばいい。そうじゃなきゃ、断ればいいわけだ。たまに断ったって、大抵はあなたが思ってるほどのマイナスにはならない。(断言!)

つまりは、しなくてもいいとか、したからといってコア業務の生産性向上につながらないことはするな!ってことだ。


■■5.まとめ

よく「時間はつくれ!」とか言ってるビジネス本あるよね。

その中身はっていうと、通勤電車の中とかの時間を有効に使えとかね。

つまるところ、遊んでないで,休んでないで仕事しろ!ってことだね。

それにはとても同意できないよ。ふざけるなよ!エラソーにって感じだよね。もちろん間違ってるとも思わないけどさ。

それより、時間のマネージメントについては、もっと遙かに重要なことがある。

最後にまとめてみよう。

1)自分のコア業務とはなにかをまず考えろ!
何に対して金もらってるのか?
失ったらフリーランス生命が脅かされるのは何で、
そうじゃないのはなんなのか?
こういうことをキチンと把握した上で...

2)しなくても済むことはするな!
いかにそれをやってやろうかとガンバルったり工夫したりするような暇があるなら、
するべきかしなくてもいいかまず考えろ!

3)明日出来ることは明日やれ!
そうやって今まさに必要なまとまった時間をつくることに集中しろ!
明日出来ることは明日やればいい。
無理して明日の余裕をつくって、少しでも新しい仕事を入れようなことを考えてるくらいなら、今の大事な仕事...企画のキモを考えることとかに集中すべきだ。

4)仕事の仕方の常識に惑わされるな。
そんなのはサラリーマンの常識だ。

5)こういったことをして、コア業務に集中して取り組んだ上で、その上で仕事中毒で死ぬほど仕事が好きなら、遊ばないで一時を惜しんで働け。移動中だろうと、食事中だろうとなんだろうとだ。

ざっとこんな感じかな。...5は、どうでもいいことだけどね。

基本的には、フリーランスに向けて書いたけど、組織人もこういう視点自体は持っていた方がいいと思うよ。

特にマネージメントクラスの人はね。

オフィスの生産性向上ってのは、実のところ、ココに尽きるんだから。

他のは全部、ココができてからの話なんだよ。




以下ちょっと追加(2001.5.16)
本筋とはあまり関係ないので、かなり暇な人だけ読んでください。

ここで、組織である限り避けて通れない「雑務」と呼んだものは、
家庭における家事のようなもの
だと思えば、よりよく理解できると思う。

家事は重要だ。
家事を全面放棄したら、家庭はめちゃくちゃになるというより、成立しなくなる。

メイドを雇って、家事をアウトソーシングしたって、最低限、メイドを管理しなきゃいけない。これはこれで大変だ。

組織にとっての、総務や財務や情報システム管理....などは、(もっと言えば、旧態依然とした組織における中間管理職の役割なども)、家事だ。

大所帯になるほど家事は効率化されていくと思ったら、大間違いで、大所帯になるほど、家事は複雑化し、大問題になっていく。

大所帯になるほど、間違いなく専任の家事労働者が必要になるのだ。

どっかのTVでゴールデンタイムにたまにやってるビッグファミリーのレポートでも見てみればいい。ぜったいに「ものすごいかーちゃん」が切り盛りしてるか、なんだかみんなでいろいろと家事の役割分担があって大変でしょ?

家事的な雑務は、単純に生産性という点から見れば、コストセンターにしかならないけど、必要不可欠で、組織が大きくなると、ほっておくといくらでも肥大化してっちゃうものなのだ。

もっとも良い例が、究極の大所帯である、国家行政とかだ。

つまり、官僚がやってるのは、国家行政の家事なわけだ。

ほっておくとどんどん肥大化する。家事が大事なのか、ショーバイが大事なのか区別がつかなくなる。ほっとくと増えてくる腹の肉のような感じだ。

だから、つねに行政の意識的なスリム化が必要になる。

ただ、ほっておくと増えてくる腹の肉との違いは、それが必要不可欠なものだってこと。

必要不可欠だけど、スリムに維持しなきゃいけないってのがムズカシイところなわけだ。

余談だけど、だから、時々ボードとかで見かける「役人なんてこの世から消えて、市場原理に任せた方がいい」とか「国境のないサイバー社会になれば、いらなくなる」とか「ボランティアがそれを代替する」なんていう暴言にちょっとでも与しちゃダメだ。

そんなんじゃ、誰もなにも家事をしない家庭のようになってしまう。(そんなものは成立しない。ただのアナーキズムだ。...言ってる本人はそんなつもりはなくて、ただ気持ちをぶつけたいんだろうけどね)

国境がなくなろうとなんだろうと、行政システムは必要なのだ。
そりゃ今よりはるかにスリム化した方がいいにきまってはいるけどね。

... ...

こんな本筋と関係ないことをなんで追加したかって言うと、
「雑務」を考えることって、すっごく奥が深いでしょ?ってしつこく思って欲しかったから。そんだけ。
posted by わき at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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