2004年08月07日

#92.メーカーにとってのFSP

元サイトで、04.6.5にアップしたFSPについてのコラム

ひとまず、コピー&ペーストしてるだけだから、元サイトの表現にあったリンク等機能しません。



ちょっと時間ができたので、以前にブログの方でちょこっと書いたFSPのことについてもうちょっと書いてみようと思う。

ちなみに、FSPはfrequency shoppers program のことで、
「繰り返し買い物してくれる客のための施策」って感じね。
エアラインのマイレッジとかが最も代表的なヤツですね。

でもって、今回はエアラインのようなサービス業ではなくて
...サービス業でのFSPについてはいろいろたっぷりネット上とかにも資料あるし...
今一歩取り組みが進まない...というか今後どんどん重要になってくるはずの
メーカーのFSPについて思うところをつらつら書こうと思います。







要点


今後大量のリベート予算などが宙に浮き、最終的にその多くは販促予算に振り返られていく。


業種・商品種などにもよるが、その予算の多くは最終的にFSP予算化する。


商品単位ではなくブランド単位でのFSPが増えていく。


FSPはたんにユーザロイヤリティを向上させるだけでなく、メーカーにとっては、
「個客」との1to1関係の窓口となり得るわけで、その点で個客マーケティング時代のコミュニケーション全体の土台になりえる可能性を持っている。


例えば、FSPをダイアログマーケティング(対話)の基盤としていくことで、顧客をマーケティングパートナー化していくこともできる。


またさらに、FSP参加者が充分に増えて、2Way回路が開けば、それ自体を売場化していくことが出来る。


これまでは殆どがマスの役割であったブランド訴求でさえも将来的にはFSPの場でかなりの部分を担っていくことになる。


この様にFSPの役割は今後遙かに大きなものになる可能性があるが、メーカー内部でも広告業界の側でもこの状況に対応する体制は殆どできていないと言っていい。
...但し、一部ではこの状況を読んでの急な動きが始まっているのもたしか。


大手代理店の決算などを見ても明らかなように、純然たる広告予算は縮小し、かわりに販促関係が伸びていく、この構造変化にいかに対応するかということも、今後の業界変化を占う上で重要なポイントになる。






目次
■FSPの設定範囲

■参加者数の拡大と応募頻度の向上


■ブランド表現とFSPの密接な関連づけ


■ダイアログマーケ基盤化...顧客のマーケティングパートナー化


■CRMベース化,売場化


■企業にとってのFSPの管理 ...一段上段に立った管理体制


■広告関連業界再編の要所にもなりえるFSP


■これからのFSP設計の要点整理




以下、FSP設計の要点...というか視点となることを書いていきますね。



■FSPの設定範囲




FSPは本来、ポイントで顧客の将来の商品選択を縛る・圧力をかけるものだ。

実際、あまり出来が良くないと思えるFSPでも、
数字を検証してみると、
確実に予算以上の効果をあげている...固定客化に貢献していることが多い。

であれば、どこでもFSPを導入すれば良さそうだが、
製品寿命が短いもの・短くならざるを得ない売場が中心の商品では、
当たり前だがFSP導入の意味はない。

あくまでも商品が定番であるか、定番にしようと言う強い意志のもとで導入する商品しか意味がないわけだ。

ただしこれはあくまでも原則論であって、
実際には製品寿命の短さが予想される新商品であってもFSPは有効だ。

なぜなら、世間の多くの消費財の商品寿命が短くなっているとはいえ、
「まったくの新商品」なんてのはそんなにないからだ。

どういうことかと言うと、ファミリーブランドネームを引き継いでいたりなどというかたちで先行する商品の資産を引き継いでいるから。
...例えば、カップラーメンとかは分かりやすい。GooTaシリーズとか一平ちゃんシリーズとかね。原点の商品は消え去っても資産は引き継いでいる。

だから、FSPをどの範囲でやるのかという設計...ポイントをつける商品の範囲...が大事なわけ。

●うちのコーポレートブランドを付けている商品は全部対象にしよう
●製品分野ごとにしよう
●ファミリーブランド毎にしよう
●サブブランドだけを対象にしよう
●単一の定番商品だけを対象にしよう

ってね。

顧客層が重ならないほど製品分野が広がっている企業で、すべての商品を対象にするのはナンセンスだし、
例えば、所得レベルに応じてブランド切ってるのに、ブランド横断でやったらマイナスの影響も出るよね。
かといって、単一商品に絞ってしまっては、いわゆる定番しか対象にならない。

だから、どこで切るかが大事なわけだ。

この範囲決めは、要約すると継続的に引き継いでいきたい対顧客でのコミュニケーション資産単位で行うということがポイントになる。

「FSP=個客ロイヤリティをつくるもの」だから、
その同じ顧客があるコミュニケーション資産を軸とした関連性の中で買い続けてくれる範囲ってことだ。

なんだかわけわかんねーぞって場合は
できるだけ簡単に決めようと思ったら、
顧客層が確実に重複していて同じブランドネームを使っている範囲
にすれば良い。



さらに言えば、上のに加えて同じ購買回路...チャネルが重複している商品の方が告知など様々なオペレーション面から考えてもより現実的なものになる。



また、冒頭の要点でも書いたように、FSPの可能性はたんに商品選択への圧力だけではない。
もっとずっと大きな可能性がある。

そこも意識して、FSPの対象範囲は設計しなきゃいけない。







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■参加者数の拡大と応募頻度の向上




先ほど、「できの悪いFSPでもそれなりの成果をあげている」って書いたけど、
確かに多くを内製化しているときに目に見えるコストと売上貢献を見比べればそうも言えるかもしれないが、
微々たる応募者しかいないような状況では、手間ばっかりかかって仕方がない。

先ほど要点で書いたような役割を負わせていくなら、FSPがそれなりのスケールで成果をあげなきゃならない。

そこでまず重要なのは、参加者数をとにかく増加させること。
商品を購入した者の多くが、FSPに参加したいと思えるしくみが必要だ。

これは、まずは告知の方法と開始のタイミングだ。

パッケージを使うのか?、店頭告知するのか?、広告で押さえるのか?、それらをどう組み合わせるのか?
ってね。
予算・効果で最適な組み合わせがある。

また、需要がだんだん盛り上がっていく時期に開始するのもポイントだよね。
例えば、アイスコーヒーのボトルについて、秋から開始するってのは無いよね。


これからどんどん買おうと思えば、FSPに参加してみようとも思うかもしれないが、次は当分買わないかもと思えばポイントを取っておこうとは思わないものね。

さらに言えば、競合を出し抜くことも大事だ。

なぜなら、FSPは当たり前だけど「顧客を固定化する」。
ってことは、競合より先に始めた方が有利なわけだ。

つまりアイスコーヒーのボトルなら、大抵は急に暑くなり出す、GW前に広告やその他の販促施策投入と同時に始めるだろう。予算も組みやすいし、告知効果も高めやすい。

でも、あえてもっとずっと前倒し...例えば、3月から始めるってことも競合の動きなどの状況見て決断すべきだ。

ここまでは割と「基本」のはなし。

でも、参加者数の拡大は告知とタイミングだけの問題じゃない。

最大のポイントは、賞品の魅力ってのがあるだろうけど、これはいったん置いておいて(後で)、
応募のしやすさ・敷居の低さ・めんどくさくない
ってのが重要だ。

特に本来なら食品などはもっとFSPをやって良いと思うけど、
数百円の商品で、通常なら上代の3%くらいでプレミアム設定することになるから、
ちょっとくらいポイントを集めてもたいしたものがもらえないな...やめておこ。
ってことになっちゃう。

でも、例えば、ケータイやPCからネットで簡単に応募・ポイント確認できるようにすれば、
「ひとまず応募しておこうか」になる可能性が飛躍的に高くなる。

もちろん、これは自前でやればイニシャルコストが跳ね上がるし・データ管理のリスクも増えるし、専門サービス使えばランニングコストがバカにならなくなる。
でも、こんなコストは展開スケール次第でスグに吸収できるものだから、判断の問題だ。
ちまちま意味の無いようなやり方するか、どばーんとFSPをマーケの主役にするかってことだ。

それから、お友だちと一緒に参加するとポイント割り増しみたいな考え方
...顧客自体を告知手段化するってのも主婦向けの商品とかだと有効だ。

セルリキ(自己精算)のしくみを取り入れるのも手だ。

つまり、ポイントに自己負担分のお金を足して、賞品を手に入れても良いってしくみにするわけ。
ビール会社とか良くやってるよね。ビールサーバを「買える」とかさ。
あれをFSPでやるわけ。

もちろん賞品の魅力がなきゃダメだけどね。

これまでは、応募者数の拡大のはなしだったけど、応募頻度の向上も重要だよね。

これはコレクション性を高めるとか、
賞品の一定割合をシーズン毎に入れ替えて新鮮さと限定感を保つとか
いろいろやり方はある。

もちろん、さっきのケータイで応募できるなんてのは、
当然応募頻度アップにも貢献する。






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■ブランド表現とFSPの密接な関連づけ




FSPが付け足し的なものじゃなくて、極めて重要なマーケ戦略の柱のひとつになっていくなら、
FSPの場で、ブランド表現していくと言うことが重要になる。

なんてったって、モノを介してブランドの世界を...例えばライフスタイルイメージとかをずっとFSP応募という形で意識させながら訴求できるのだからね。

例えば、CF中でブランドの世界を描くとする。
例えば、イメージリーダー的なタレントが、お気に入りのものに囲まれた自分の部屋でくつろいでる
なーんていう画はよく出てくるでしょ?

その中の小物...ライフスタイルイメージを描く小物を最初から賞品化しておくといったことが考えられる。


つまり、マス表現とFSPの連動だ。

また、よくあるやり方だけど、
ターゲット層が支持しているライフスタイルコーディネータ的な人が選んだ
セレクトグッズみたいなやり方もある。

ライフスタイルコーディネータったって、予算の割が合わないなら、別に著名な人を使う必要もなくて、
例えば、ライフスタイル誌のライターにチョイスしてもらうとか、
そういう肩書きで勝負するって方法だってある。

もちろん最も理想的なやり方はブランドの世界観を表現するオリジナルグッズづくりだよね。
でもまー、これはなかなかコストがあわなかったり・制作管理が難しかったりするのだけど。

なんにせよ、こういったやり方...賞品そのものよりも、賞品の背景ストーリーの方を重視するやり方は、ブランド云々以前に、
賞品の魅力アップということにつながる。

前の方でも、FSPは定番商品にこそ相応しいと書いたけど、
定番商品≒王様商品だったりすると、
プレミアムは奇抜性よりも「当たり前のもの」が良くなる。...ケースバイケースだけど。
当たり前だけど、クオリティとかが良いもの・価値のあるものだよね。

でも、当たり前のものは、つまらないものになりがちなわけで、
そうならないようにする...それを欲しいと思わせるには、
モノ自体の選択も大事だけど、背景ストーリー...それによっていかにブランドの世界観に沿っていて、しかも賞品の魅力をアップできるようなオーラを付加できるかが重要になるわけだ。






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■ダイアログマーケ基盤化...顧客のマーケティングパートナー化




多くの消費財メーカーにとっては、FSPは数少ない顧客との双方向+継続的な直接接触機会になる。

であれば、そこにかなり本質的な機会がある。

まずはモノで囲うだけでなく、情報で囲う
...囲うっていう言い方は良くないか...求心力をつくることができる。

クラブ的な展開だ。
もちろんこれは簡単ではない...知恵もコストもちゃんと投じないと意味がないが、
成功すれば大きい。

特にここに対話型のしくみ...顧客+開発者や売り手+オピニオンなんかが自由に対話できるしくみを盛り込んでいけると、管理は難しいが、大きな求心力...心理距離を縮めて顧客を身内化できる。

これらについては、興味があったら、米国ダンキンドーナッツやワコールのおうちウェアなんかの事例を調べてみて欲しい。

手法としては、コストと対話性を考えたらやっぱり舞台はネット上になるだろう。

ここでなにを語るとかと言えば、もちろん製品のことが中心だ。

この対話回路の参加者を、
商品開発パートナー化...意見を聞いたり、商品テストに参加してもらったり...
プロモーションパートナー化...新製品のサンプルを配ってもらったり...
リサーチャー化...ロイヤル客の定性情報収集
していくことができる...つまりマーケティングパートナー化できるハズだ。

これらは、参加意識を高め、満足感につながる。

ほら、商品開発に口を出してみたい主婦とか、調査にこたえたい主婦とか大勢いるでしょ?

但し、参加感と身内意識みたいなものがちゃんとできてないと、
ただの面倒で避けたいものにしかならないけどね。


繰り返すけど、先ほどのワコールの例や米国ダンキンドーナツの例では、マーケティングパートナー化に上手く結びついている。






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■CRMベース化,売場化




ある程度FSPの参加者数が大きくなり、そこの2wayの情報回路が開けば、
それ自体が市場化してくる。

例えば、メンバーだけに向けた通販システムとかつくることができるようになる。

FSPの賞品だって売れば良い。

値段をつけることで、プレミアムとしての価値だって上昇する。

様々なウリモノを、FSPポイントも使えて買えるようにすればいいわけだ。

セルリキのしくみを最初から入れておくと、売場化しやすいハズだ。





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■企業にとってのFSPの管理 ...一段上段に立った管理体制




FSP本来のはなし以外のこともたらたら書いてしまったが、
そのくらいFSPは今後マーケティング戦略上の重要な施策になるはずだ。

たんなるインセンティブプログラムの一種として捉えるべきではない。

であれば、管理体制が問題になる。

これまで書いたような可能性を追求していくのに、無計画に進むと
ただただ手間ばかりかかるものになってしまう。

優先度の高い戦略アイテムとしてコントロールしつつ、
最初から、こういった可能性を追求できる企画の枠組みを用意し、
適切なアウトソース先を探しておくべきだ。

いきなり大きく生むのは無理だとしても、
成長できる子供として生まなきゃダメだ。

例えば、アウトソース先を探すにしても最初から以下の条件を
(1社でなくとも良いから組み合わせてでも)満たせなければダメだ。

●CRMデータベース・分析機能
●ネットでのポイント決済
●セキュリティ...特に顧客情報
●複雑なオペレーションの総合管理
●トータルコスト

そんなところってあるのか??
完璧なところはともかく、
かなりいい線行ってるところは幾つか出始めている。

例えば、手前みそだけど、基礎プランをつくらせてもらったTICCS(TOWリリース,INTAGEリリース)の一部をオペレーションシステムとして使うって手もある。

もちろん他にも幾つかこういう動きは各関連分野で出てきている。

取引先のこと考えると、どこがどーとかあまりいいたくないから具体的には書かないけどさ。





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■広告関連業界再編の要所にもなりえるFSP




以前にも何度か書いていると思うけど、
広告+広告周辺の業界では、一時的な増減はともかく全体としてはマスは徐々に減る傾向にある。

では業界全体がシュリンクしてしまうのかというと、そうでもなく、
例えば、主要な広告代理店各社の決算を眺めればわかるように、
利益率は減っているが、それ以上に売上を伸ばしているところがある。

これは明らかに「広告周辺」分野を伸ばしているということだ。

周辺分野の中でも特にいわゆる販促とか、最近じゃカスタマーマーケ(Hはいつもこういうネーミング先取りしてて上手いよね)とか言っている部分だ。

でもって、さらに言えば、ゼロサム成長時代=リテンションレート(繰り返し買ってもらうこと)重視時代にあっては、CRMだったり、具体的なキャンペーン施策としてはFSPがとっても重要になってくるわけだ。

これはリクツではなくて
リベート廃止=オープン価格化の流れの中で浮いた予算をいかに有効に振り替えるか
リベートが担っていた部分を補うかという点で
極めて現実的なはなしなのだ。

FSPとは直接は関係ないが、
店頭での様々なキャンペーンでは、
少し工夫すれば、どの店で誰が売上貢献したのか?
といったことをメーカーが把握するといったしくみをすぐ盛り込める。
(例えば、TICCSにはそういうしくみも盛り込んである)

これは、チャネルやフィールドスタッフへのインセンティブプログラムにもすぐ応用できる。

専門チャネルがどんどん強くなりコントロールが効かなくなってきているという分野は多いが(例えば、酒類は最近は専門の安売り店で買うって人も多いだろう...配達もしてくれるしね。あとドラッグストアも強くなる一方だし...)、
こういったところの動向把握にも貢献するわけだ。

...つまり、これまで買ってたPOSデータは本当に実態を表してるのか?ってことね。
GMSとかのデータじゃ、専門チェーンの状況はわかんないよね。





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■これからのFSP設計の要点整理




最後にメーカーにとってのFSPに取り組むポイントを列挙しておこう。

1.FSPの対象範囲の検討
2.ある程度先を見越したFSP応用プラン
3.体制
--
4.告知と開始時期
5.参加者数の拡大と応募頻度の向上
--
6.ブランド表現との密接な関連づけ
7.個客との対話回路づくり
8.CRM DB







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ブログ(日々の雑記帳)では、なんだか来週から忙しくなりそうだから、「やーめた」って途中だけ書いてアップしたけど、
日曜は雨って予報聞いて、気分が変わって、
「とにかく書いちゃえ!このままじゃきっとまたお蔵入り」ってことでひとまず書いちゃいました。


例によってあまり整理良くないけど、まー許して。



追記1:財務説得がポイントだ040819
posted by わき at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 広告・マーケ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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