2004年08月07日

#89.始めてのクライアント対策。企業地図を描いてみる。

元サイトで、03.9.4にアップしたコラム

ひとまず、コピー&ペーストしてるだけだから、元サイトの表現にあったリンク等機能しない部分があります。



唐突だけど、やっぱ仕事は出だしが肝心だよね。


そして特に案件のクライアントが始めてのところだったりすると、出だしのクライアント理解の差が、大きく結果を左右することも多い。


そもそも「クライアントを知っている」ということは、出だしに信頼を得る大事なポイントの一つだ。...あったりまえか。


プランナーに限らず、例えば営業マンならなおさら、相手を知っていることは大きなメリットになる。


例えば、相手がコストダウンを最優先してるときに、安易に「もっと新しい領域を攻めましょう!」とか提案したって相手にされないだろう。

同じものを売り込むにしたって、切り口の作り方が変わるはずだ。


デザイナーやコピーライター、Webデザイナーとかも同じだよね。課題を文字通り捉えるだけじゃなくて、クライアント理解の奥行きが表現の説得力を変えるし、それがやり取りの効率化と信頼につながってくる。

だいたいデキルクリエイターってのは、良くクライアントを研究しているものだ。


こういうことは常々書いたり言ったりしてきたけど、よく考えてみると、「どうしてわきさんは、そんなにあらゆる分野についてよく知ってるの?」とか聞かれても、「事前にちょこっと下調べしてるのと、日頃の情報収集と、想像力だよ」ってこたえてるだけだった。


つまり、どうしたら「ちょこっとの下調べ」でイケるようになるかをまるで説明してなかったんだよね。


というか、それを「日頃の情報収集と想像力だ」って言っちゃってたわけだ。


それはそうなんだけど、それじゃー、やる気は起きないよね。


「日経とかは一通り目を通してるし、事前に企業のWebサイトとか見てるけど、結局それほど役に立たないし、なにがポイントかわかんない」ってことになるわけだ。


そこでちょっと私としても反省して、「ちょこっとの下調べ」の方法というか、調べる着目点、その枠組みについて、考えてみようと思う。






で、結論は簡単。


クライアントの企業構造地図を頭の中に描いてやればいいんだ。これができれば調べるポイントもスグ見えるし、想像力も働きやすくなる。


おいおい、なんだか難しそうだな」とか思わないで。


要点はこの図↓程度のことだ。



殆どの企業ってのは、要約すればこの図のように見ることができる。


一見メーカーの図のように見えるかもしれないけど、小売りとか、観光産業とか、通信産業とか、金融とか、農業とか、病院経営だって...なんだって、実はこういうことだ。


というか、こういう地図に当てはめて企業を見ると、把握しやすくなるんだ。


で、この中味を埋めていくんだけど、その前に大事なのは、こういう地図を常に頭の中に描いて、それにあてはめて考えたり、仕入れた情報を整理しておくことが重要なんであって、いきなり正確に描くことは2の次だってこと。

まずは、分かる範囲の情報を当てはめておくだけで充分だ。


分からないところは想像で埋めるし、それが間違っていると思ったら、やはりこの枠組みの中で修正するだけだ。


ちなみに大企業とかだと、企業活動は複雑でイヤになっちゃうかもしれないから、つき合う必要のある製品事業部とか、特定製品に関する部分とか必要なところだけ抜き出して整理してもいい。


で、図の見方なんだけど、

真ん中は、クライアント(業界)、左側(調達市場)は、とにかく企業活動に必要な材料を仕入れるところ、右側(販売市場)は、売るところだ。


企業活動って結局、なんか仕入れて、それのかたちを変えて(加工したり、サービスを加えたり、場所を動かしたり)、それを欲しい人に届けて、その中で儲けるってだけのことだ。(でしょ?)


じゃーそれを踏まえて個別に見て見よう。
































消費者

結局、買ってくれるのは誰なのか?

買ってくれる人は、どういう広がりがあるのか?どう絞り込まれているのか?

例えば、それを決めているのは特定の趣味嗜好かもしれないし、暮らしのかたちかもしれないし、地域かもしれないし、所得かもしれないし...。

もちろん顧客が法人だとしても、それが「消費者」だ。


P/L=ベネフィットの総体/入手の総コスト




流通

クライアントと消費者を繋いでいるしくみはなんだ?ウリモノはどう流れている?

流通網はどう拡がっている?

地域は?しくみは?問屋や小売店に依存している?直接販売?流通網はどうコントロールされている?

直轄?フランチャイズ?それともオープン取引?

特定の場所に出店している?


クライアントを流通にたいして、強い?それとも弱い?

営業戦略のポイントを整理しよう。


例えば、クライアントが流通企業なら、出店政策のポイントとかを整理しよう。


P/L=売上/コスト




資材調達

ウリモノをつくる材料はなんだ?どんな原料や部品をどこからどう買ってる?

ウリモノをつくる材料は物財とは限らない。

それは「権利」とかかもしれないし、「情報網」とかかもしれない。

なにが揃ったらウリモノができるか、何が欠けたら決定的にヤバイかを想像してみよう。

その上で、資材調達市場では強いのか?弱いのか?どうしてそうなのか?

P/L=売上/コスト




人材調達

その企業を維持発展させていくためにはどんな「人手」と「人材=専門的能力」が必要になるのか?それを効率的に確保するためにどうしているのか?

人材市場からどう見られているのか?(売り手か買い手か?)

人事制度の特徴など

P/L=勤めることで得られること...収入ややりがい・安定など/組織に提供する能力や時間など




資本調達

資本の状態は健全か?どこに問題があるのか?どこから調達しているのか?自前?銀行?金融市場?

資本調達市場からどうみられているのか?

P/L=期待される資金運用益とリスクのバランス




規制勢力

例えば、規制官庁の動向など。規制勢力は役人だけに留まらない。それは政治かもしれないし、消費者団体かもしれないし、もっと他のNPOなどかもしれないし、メディアかもしれない。

それらの規制勢力とどんな関係なのか?良好か?険悪か?それとも?その焦点になっているのは何だ?


クライアント

クライアントのウリモノとは何だ?その強みは?弱みは?

大企業なら市場シェアは?...強い?弱い?

企業ブランドの特徴は?

経営者は?オーナー?たたき上げ?出身は?=営業系?技術系?財務系?...

それとも外から?=親会社?天下り?それとも?

考え方は?攻め?守り?あるいは?最も重視する指標は?


社風を一言で言うと?


P/L=売上/費用




競合

主な競合は?その特徴...クライアントと比較した位置づけは?

クライアントはライバルの何を最も恐れている(評価している)?







こういった観点で、図を埋めていくわけだけど、なにをもとに埋めていくかと言うと...つまり、最初にどこを見るかだけど、


目的はザックリとクライアントについて理解することだし、こういうことにあまり時間をかけてもしょーがない。


私はかけても1-2時間ってところだ。(そんなにかけてないかもな)


で、大事なのは、まずは想像力だ。


まるっきり知らない企業とかならともかく、少なくとも名前を聞いたことがあるって企業なら、どんなものを仕入れて、どう加工して、なにをどこに売ってるってことについての漠然としたイメージくらいもてるだろう。


それをイメージしつつ、


次に、クライアントのWebサイトを見てみる。できればその代表的な競合のも同時に開いておくといいかもね。


ココでウリモノはもう少しは具体的に見えてくるだろう。


どこで買えるのかを見れば、流通部分も基礎が見えてくる。


企業プロフィールのところとか見れば、例えば、「この売上にたいして、これだけの拠点資産を持ってるわけ?変だなー」とか、「あーこの会社は同族なのね」とか、社長のルーツとかいろんなことが見えてくる。


リクルート関連のページを見れば、きれい事が並んでても「こういう種類の中間層集めようとしてるってことは...」とか「競合と比べて新卒の給料が高いってことは」とかいろいろ想像が膨らむ。


公開企業なら、IR関連の内容を斜め読みするだけで多くのことがわかる。


財務諸表しか載せてないようなところは徐々に減ってきていて、中期事業計画とかトップが企業をどこに導こうとしているかという意志もよくわかるものが増えてきている。


さらに、時間があるなら、企業名と各種のキーワードを掛けて、いろいろググって(ネット検索して)見よう。

例えば、企業名×人事制度とか、企業名×新事業とか、企業名×営業戦略とか...ね。


特に地図を描く上で「いまいち見えない」っていう領域を重点的にやろう。






慣れないうちは、なかなか効率的にこういうことってできないかもしれないけど、やってればだんだん慣れてくる。


しつこいけど、大事なのは、あくまでもこういう図式で企業活動地図を描く(企業活動を捉える)って意識し続けることだ。


それさえ忘れなきゃ自然にできるようになる。






最後にちょっとだけ、もっと上級を目指すためのポイントを。


さっきの表だけど、各項目の説明の中に、P/L(損益)っていう文字があったでしょ?


これは、いわゆる損益計算書に現れる損益だけじゃなくて、結局各市場において結局その取引は得なの?損なの?ってのを見ているわけだ。


例えば、消費者にとってのP/Lは、ある商品だったりサービスだったりを入手して得られる便益...便利で役に立つとか、うれしいとか自慢できて気分がいいとか...と、入手するのに必要なコスト(探す時間と手間+支払+交通費とか...)の比較になるわけだ。


これがプラスになれば商品は買われるし、マイナスなら買われない。でしょ?


こういうことが、資本調達市場とか、人材調達市場とか...各領域で見られるわけだ。


でもって、消費者のところで、マイナスなら買わない=取引が行われないとなるように、どこでもマイナスなら取引は成立しない。


つまり、逆に言えば、うまくいってる企業は、各分野でみんながハッピー(黒字)になっているハズなわけだ。


どれもが企業活動に欠かせない要素なわけだから、つまり、P/Lが赤字になってるところから、企業はダメになっていく。(というか、そこが問題発生の起点になる)


経営者にとっては、その問題を解決することが、まず求められるわけだし、当然、それがその時の最優先課題になる。


さっき、P/Lが赤字になっているところから、企業はダメになっていくと言ったけど、実は、極端な黒字(濡れ手に粟だー!)ってなってるところも問題が起きる。


なぜなら、取引先というのは常に一定なわけじゃなくて(市場を相手にしてるわけだから)、かならずカウンターオファーしてくるところがでてくるわけだ。


「うちは、もうちょっと儲けが少なくてもいいですよ」ってかわりの取引先が現れるわけね。


それを競合にさらわれたら、いっきに不利になるわけでしょ?


規制が変わったり、情報通信や物流技術とかに核心があると、そういうことがドラスティックに起きる可能性があるわけね。


だから、極端な黒字を放置してる分野も要注意なわけだ。


それから、さっきの図を右から見るか左から見るか、供給の上流から見るか下流から見るかなんだけど、


ドラッカー大先生は、企業活動は、「顧客創造につきる」とか、「結局、マーケティングとイノベーションだ」(マーケティング=消費ニーズに自社をフィットさせること、イノベーション=新たなニーズを創造すること)って言ってるでしょ?...名言だなー。


だから、さっきの図の、左(調達)と右(消費)のどっちに重きを置いて見るかと言えば、当然、フツーは、まず右(消費)に重きを置いて見ることになるわけだ。






「簡単にちょっこっと下調べするために」と書いた割には、なんだか難しそうな感じになってるけど、要点は(かなりしつこいが)さっきの図の枠組みで企業活動を見るクセをつけるってことだ。


ところで、実際の営業活動とかでは、そんな俯瞰のマクロ地図より、もっと目の前の営業対象のことが見えるミクロ地図が欲しいよってこともあるだろう。


そんな時は例えば、長編小説の「登場人物相関図...人物相関地図」みたいなものを描いてみるのも手かもしれない。


例えば、こんな感じだ。


それぞれの関係がどの程度良好なのか?それぞれにインプット・アウトプットされる情報の要点はなんなのか?を想像で、あるいは情報収集しながら埋めていくと、どこからどう攻めたらいいか見えやすくなったりする。


こういうのは経験的には誰もが頭の中でやってることなんだろうけど、図に描いてみて始めて見えてくることってやっぱりあるんだよね。

この記事へのコメント
どうも初めまして
ナーティ・サム鰍フ矢城と申します。
弊社はSPのプランニング&プロデュースをしている制作プロダクションです。
現在、フリーのプランナーを探しておりまして、
メールした次第です。
是非、一度メールいただければと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
Posted by 矢城 at 2005年10月22日 20:24
矢城さん>

>メールした次第です。

届いていないです。
Posted by わき at 2005年10月22日 22:34
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