2004年08月10日

#76.誰に評価されたいのか?

2002.5.17にアップした内容。



マネージメントやクライアントに評価される能力と

同業者に評価される能力の違い。

どっちに評価されたいのか?



■例えば「経営者」は

必ずしも「スキル」を

評価しない。


以前にどこかで書いたかもしれないけど、知り合いの小さなネット系ベンチャー企業の社長が、自分ところの社員を捕まえて「わかってない!」「バカ!」連発なのよ。

そう言われちゃってる彼は、所謂Webデザイナーなんだけどね。(見てないだろうな...)

「スキル」はさ、けっこうなもんらしいよ。
かなり高度なサイトを、キレイに、ささっとつくれるらしいから。

でもさ、その社長が言うのも良く分かるんだよね。

その社長は、「別にそんなにいろいろできなくてもいーから、もっと“営業”になって欲しいよ」みたいなことを私に愚痴るわけよ。

さらに、(その社員は、その分野の専門学校の出なんだけど)「学校はなに教えてるのかね?そんなアプリが進化すればすんじゃうような技術なんて教えなくてもいいから、もっとWebコミュニケーションってなんなのかもっと大事なことちゃんと教えて欲しいよ」って続けるわけ。

私としては「まったくそうだね」って同意するしかないわけよ。

私なりに彼の言葉を解釈すれば、「“営業”になってほしい」ってのは、もっと意識的にクライアントのニーズを把握して欲しいってことだろうし、「Webコミュニケーションってなんなのか」ってところは、クライアントやサイトの客は、別に高度な技術とか望んでないし、キレイな見た目も大事だけど、それ以前にもっと大事なことがある...例えば、根本的なユーザビリティ...例えば、なにがどこにあるかスグにわかる使い手をイライラさせないデザインとか...の方が大事でしょう?ってことだね。

学校がこういうことをちゃんと教えるのは難しくて、こういうことを教えるのに比べれば技術を教える方がよほど簡単だったりはするんだろうけど、本当に「即戦力」を送り出したいなら、こういうことの基礎ももっと教えるべきなんだよね。

社長にしてみれば、低コストで、クライアントだったり、サイトの客に評価されるものをつくりたいわけ。

低コストって言うのは、なにも単純にWebデザイナーの人件費ってことじゃなくて、いくら安くても、こういうデザイナーだと、営業だったり、そのあたりのことをわかってるディレクターをいつでもずっと貼り付けなきゃいけないでしょ?

それってめちゃくくちゃ非効率なんだよね。

もっと給料取ってくれてもいいから、いったんクライアントとの関係ができて、基本方針が決まったら、営業やディレクターの手足をやたらと縛らないで欲しいわけよ。
営業やディレクターにはもっとやって欲しいことがあるわけ。

そうやってトータルに見ると、こういうデザイナーはいくらスキルはあっても、めちゃくちゃ「稼げない」「足をひっぱる」デザイナーなんだよね。

名刺にはデザイナーって入ってて、見栄えの良いデザインできても、
デザインの本質...コミュニケーションを設計できないなら、
実際はそういうのは「オペレーター」と呼ぶべきなんだよね。

そういう人を、会社の経営してる人が評価すると思う??

逆に言えば、スキルなんてそこそこでも、このあたりのことがすごくわかってるホンモノのデザイナーなら、もっと高給払ってもいいし、是非、欲しいわけだ。


■誰に評価されたいのか?

このWebデザイナーみたいな人は、きっと同業者仲間では、けっこう評価されるんじゃないかな?「...彼はスゴイよ。これもできるし、あれもできるし...」ってね。そこそこメジャーな仕事してるしね。

でも、社長からしてみれば、彼がメジャーな仕事してるのは、彼に能力があるからじゃなくて、オレが企画して、営業して、仕事つくってるんだ!!ってことになるだろうしね。

同じ目線の同業者と、経営者と、クライアントと、クライアントの客ってのは、見てるところが違うわけよ。

じゃー、誰に評価されたいのか?誰が、あなたの仕事の生命線を握ってるのか?ってことが問題だし、そのあたりをちゃんと考えようってのが、今回のテーマだ。

もちろん、(Webデザイナーみたいな流動性が高い労働市場だと特にだけど)彼の直属の上司や経営者や、クライアントや、ましてやサイトの客が、彼の生命線を握ってるわけじゃない。

ダメなら、「アイツら、オレの能力をわかってない」「ちゃんと仕事の中身がわかってる知り合いの同業者は、みんなオレのことスゴイ!っていってくれてるのに...」ってプリプリ怒って、次の職場を探せばいいだけだ。

でもね。きっと同じことなんだよね。どこ行ってもさ。

だから、別に、上司や経営者とかの顔色見て毎日仕事する必要はないんだよ。

だけどね、彼らの様な人たち...「結局、それは売れるのか?売れないのか?儲かるのか?儲からないのか?儲からなくても会社の未来を開く何かにつながるのか?」っていつも考えてるような人たち...が評価するような能力を磨くことは、すごく重要なわけ。

ナレッジコミュニティサイトとかでの質問でも、よくこれに類することがでてくる。

「能力を評価されない」と愚痴る。
(基礎的なことでもないのに)スキルがあるとかないとかにやたらとこだわる。
就職活動や営業活動で、「なぜ彼が採用されて、私が採用されなかったのかわからない」と愚痴る...みたいなことね。

大抵は、ここで話してるような、自分と相手の「能力観のギャップ」が根っこにあると思っていい。

もちろん、本当に上司や客がボケってこともあるのかもしれないけどサ。


■じゃーどうすればいいのよ?

なにか分かりやすいものに頼りたい気持ちってのはよくわかる。

このスキルを身につければ大丈夫とか、この資格を取っておけば大丈夫とか...ね。

そのこと自体の大切さは、否定しないよ。

何事も、基礎って重要なわけで、基礎ができてなきゃなにも始まらないってのはあるわけだからさ。

でも、基礎ができてても、いつか壁にぶちあたるってのは、当然だよね。

で、分かれ道は、ココだよ。

壁にぶつかったときに、どう考えるか?ってこと。

A.「もっともっとスキルを磨こう!私より評価されてるあの人は、アレがができるから評価されてるんだ」って分かりやすく安易な方向に行くのか?

B.「自分が提供してるものって、結局何なのよ?私って、何に対してお金もらってるんだっけ?この技術が陳腐化したらなにが残るのよ?」って考えるかの違いだね。

「この技術が陳腐化したら」ってのは、「このスキルが、世間の仕事のしかたが変わって必要なくなったら...」ってことね。

技術進歩とか、規制緩和とか、代替ビジネスの成長とか...いろんなことでスキルってのは簡単に陳腐化するからね。

毎度同じ例だけど、タイピストは今時必要ないでしょ?ってことよ。

例えば、デザイナーなら、PhotoshopやIllustratorやQuarkを使えるとかみたいなデザインスキルを売ってるんじゃなくて、デザインを売ってるわけだよね。

デザインってのは、コミュニケーション表現であって、紙の上とかだけで完結することだけじゃないわけだ。

何かを表現したいクライアントがいて、表現の受け手がいる。

そこをどうつなぐのか?という技術なわけだ。

そういう本質を常に追求しているデザイナーなら、デザインってもの自体はなくならないんだから、簡単に陳腐化したりはしないわけよ。その人のデザインはね。

デザイナーに限らず、コピーライターだって、プランナーだって、税理士だって、SEだって、設計士だって、イラストレーターだって、演出家だって、ミュージシャンだって...みんなそうなわけ。

別に、自由業系に限らず、サラリーマンだって同じハズだよ。

10年一昔で、スキルにたよって、同じことを繰り返しやってたら、いつか「使い物にならない」人になっちゃうし、その時は意外と突然来るものだ。

自分が提供できるもの,提供したいものの本質はなんなのか、よく考えて、それを常に意識しておかないと、時代がかわると、簡単にこける。

これって言うはやすしなのかもしれないね。

できる人は、ごく自然にやってるように見えるし、できない人は、こういうことにそもそも聞く耳を持たないから。

で、その違いは何なのかって言うと、結局(毎度同じ様な結論で申し訳ないけど)、その仕事の本質が好きなのか?嫌いなのか?ってことなんだと思う。

デザインが好きな人は「デザインのために」スキルを習得するけど、そうじゃない人は、スキルを習得して安心することが目的なんだもん。

それに、本質的な能力とそのことが好きかどうかってのは、実際かなり密接に結びついてるらしいって、この10年くらいの脳研究は明らかにしてるじゃん。

知価産業時代と言われるようになってから、とにかくいろんな人がいろんな立場、いろんな角度から、「好きなことを仕事にしろ」って言ってるでしょ?

あれは、ココロがゆるい人たち向けのウケ狙いなんかじゃ決してないと思うよ。
この時代の真実を突いてるんだと思うな。

彼らは別に、「嫌いなことをするな」と言っているのではなくて、「好きなことを中心に据えるべきだ」って言ってるわけよ。

好きなことを追求するためには、嫌いなこともしなきゃならないこともあるわけだ。

城さんだっけ?「苦労と難儀は違う」みたいなこと...だれかの言葉の引用だっけ?...を言ってたけど、

好きでやってる人にとっては、難儀はあっても、苦労なんてそもそもないわけよ。

仕事のコア部分はけっして好きでもないけど、なんかその周辺のこと...けっこう楽とか、お金がいいとか、世間体がいいとか...そういうところが好きでやってると、ちょっと大変なことは、全部苦労っていうか苦役になっちゃうんだよね。

... もう何度も書いたようなテーマで長くなり過ぎちゃいました。
(でも、これは、しつこくまた書くかもな)

ってことで。
posted by わき at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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